これがサウンドの要!?Taylorのボディ・フィニッシュの種類について

テイラー(Taylor)が展開するシリーズは多岐に渡り、グレードが上がるにつれて、サウンドや弾き心地を向上させる機能が追加されています。

今回は、その中でもフィニッシュ(仕上げ)について深掘りしようと思います。

フィニッシュとは

TaylorBlog」より引用

テイラーに限らず、世の中のほとんどのギターには、ボディの製造過程で塗料を吹き付ける工程があります。

この工程は仕上げの段階で行われることからフィニッシュと呼ばれています。

フィニッシュを行う理由は、ギター表面の保護サウンドの安定化です。

世の中にある、ほとんどのギターは木でできています。

剥き出しの状態だと外気に晒され、湿度によって材が極端に膨らんだり収縮してしまいます。

そして高い確率で割れます・・・。

そうした材への悪影響を避けるために、塗料を吹き付け、コーティングすることで外気に触れないようにしているのです。

各フィニッシュの違い

フィニッシュには様々な工法がありますが、テイラーでは・・・

  • グロス
  • サテン
  • サイレントサテン
  • バニッシュ
  • マット

以上の5種類が選択されています。

シリーズやモデルによって使い分けされており、さらに同じフィニッシュでもグレードによって薄さが異なります。

グロス・フィニッシュ(Gloss Finish)

対象シリーズ:200 / 300 / 400 / 600 / 700 / 800 / 900 / Koa / Presentation

グロス・フィニッシュは、テイラーのスタンダードな仕上げで、上位シリーズのほとんどのモデルで採用されています。

一般的にはポリエステル塗装と呼ばれ、液垂れしにくく速乾性の高い塗料です。

ちなみに、テイラー以外の大手メーカー(マーチンやギブソン)ではラッカー塗装が伝統的に採用されています。

テイラーのグロスは、気泡などが出にくく、ヴィンテージギターによくあるウェザーチェックの発生も少ないというメリットがあります。

ウェザーチェック
塗膜のヒビ割れのこと。ウェザークラックとも呼ばれる

そんなグロスにも、もちろんデメリットがあります。

それは、形成する塗膜が厚くなるということです。

塗膜が厚くなるということは、その分、柔軟性が失われ硬いサウンドになってしまいます。

テイラーでは、そうしたデメリットを解消するため、90年代の後半から塗装技術を独自に開発しており、他メーカーと比べて高い精度で加工しているのです。

テイラーの場合、標準の厚みは6.0mil(ミル)

ミルとはヤード・ポンド法の単位で・・・

1.0mil =

0.025mm

つまり6.0milは、0.1524mm。

一般的なA4用紙が約3milなので、2枚分の厚さということになります。

グロスの厚みは価格にも反映している

例えば、400/800/900シリーズはトップ材とサイド&バック材が同じです。

400 / 800 / 900シリーズの共通スペック
トップ材  シトカ・スプルース
サイド&バック材  インディアン・ローズウッド

材のグレードや装飾の違いで価格に差が出るのは当然ですが、実はグロスの厚みも含まれています。

各シリーズのグロスの厚みは以下の通り。

400 Series :

6.0mil

800 Series :

4.5mil

900 Series : 3.5mil

900シリーズともなれば、ほぼA4用紙1枚分まで薄くすることが可能。

もちろん、これだけ薄くするためのコストもかかるため、必然的に商品価格も上がります。

その分、材の振動を邪魔しないので、鳴りも向上します。

各シリーズのサウンドの違いは、この仕上げの違いも一因になっているのです。

サテン・フィニッシュ(Satin Finish)

対象シリーズ:200 / 300

サテンは上記のポリエステルのベースに、ポリウレタンを吹き付けたツヤ消しの仕上げです。

ツヤ出しのための研磨工程を省略することで低コストでの製造が可能で、200シリーズの一部のモデルや300シリーズのバック&サイドに採用されています。

サテン・フィニッシュの特徴は、表面が凹凸になるため、ベタつかずサラサラとした触り心地が得られること。

そのため、グロスよりもサテンが好きというファンもいます。

ちなみに僕もサテン派です。

ちなみに、サテン・フィニッシュはテイラーの全モデルのネックにも採用されています。

サイレントサテン(Silent Satin)

対象シリーズ:Builder’s Edition

サイレントサテンは2018年に発表されたビルダーズ・エディション(Builder’s Edition)に導入された仕上げです。

上で説明したサテン仕上げと見た目は変わりませんが、演者の腕や服がボディに擦れた時に発生するノイズを減少させる処理が施されています。

これはスタジオ等での録音時に最適化されており、プロの現場の声を反映し開発されました。

バニッシュ(Varnish)

対象シリーズ:Baby / GS Mini / Academy / 100

バニッシュとは、いわゆるニスのこと。

材に直接、塗布するだけで完了する最も低コストなフィニッシュです。

そのため、採用しているモデルもベイビーテイラーGS Miniアカデミー100シリーズなどエントリークラスのものになります。

一般的にニスは光沢がありますが、テイラーでは乾燥するとマットな仕上がりになるものを使用しています。

ちなみに、バニッシュを用いたモデルは低価格なので手に入れやすいですが、塗膜が極薄なので外気に影響を受けやすく購入後のメンテナンスや保管が大変です。

個人的には、初心者ほどメンテナンスなどの余計な作業に時間を取られないようグロスやサテンのモデルをおすすめします。

マット(Matte)

対象シリーズ:American Dream / GT

マットはバニッシュの代替フィニッシュとして導入された仕上げです。

2020年に発表されたアメリカン・ドリームやGTシリーズ(アーバン・アッシュのみ)で、この仕上げが採用されました。

バニッシュよりも耐久性があると考えられており、今後、既存のバニッシュ仕様のモデルはマットに変更される可能性があります。

モデル別のフィニッシュ一覧

ここまでを振り返って、フィニッシュには様々な種類があることが分かってもらえたと思います。

では、自分が欲しいモデルや現在所有しているモデルのフィニッシュは何なのか?

各モデルのフィニッシュ一覧を作成したので、下のリンクから確認できます。

各モデルのフィニッシュ一覧

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