近年、各メーカーから出てきている充電式のクリップ・チューナー。
しかし、どれも充電端子が旧世代のmicro-USBという残念な仕様ばかり・・・。
そんな中、2022年8月にUSB-Cポートを搭載したチューナーが登場しました!
それがCHERUB(チェルブ)の「WST-905Li」です。
駆動がボタン電池から充電式に変わっただけというチューナーが多い中、この「WST-905Li」は独自のチューニング表示やモードを搭載した多機能&高性能モデル。
登場から品薄状態が続いていましたが、なんとか手に入れることができました。
実際に使ってみると、他とは一味違った使い心地で、すぐにお気に入りにランクイン!
というわけで、今回は「WST-905Li」をレビューしていきます。
- USB-Cポートを搭載
- セント表示でピッチを追い込める
- 残量が表示されるので電池切れの心配が少ない
- リセット・ボタンがついている
- バッテリー寿命は連続240分
WST-905Liの概要
CHERUBの「WST-905Li」はUSB-Cポートを搭載した充電式のクリップ・チューナーです。
WST-905Li | |
サイズ | W28×D55×H49 mm |
重量 | 34g |
電源 | USB充電式 |
ピッチ検出 | ピエゾ |
測定精度 | ±1セント |
対応周波数 | 430 – 450 Hz |
測定モード | クロマチック/ ギターSTD / ギターCPS / ベース / ウクレレ |
実売価格 | 2,750円 |
カラーバリエーションは「ブラック」の1色のみ。
内容物は「本体」「充電用ケーブル」「取扱説明書」の3点です。
本体の素材はプラスチックですが、安っぽさは感じません。
サイズはW28×D55×H49mmで、本体よりもクリップの方が存在感があります。
重量はメーカー公表値で34gですが、僕が量ると33gでした。
まあ、誤差の範囲です。
参考に他のチューナーの重量は以下のとおり。
- TC Electronics「POLYTUNE CLIP」: 32g
- BOSS「TU-10」: 45g
- YAMAHA「YTC5」: 28g
クリップは金属製ですが、内側にはラバーが貼られているので大切なギターを傷つける心配は少ないです。
クリップの開口部は最大で約35mm開くので、ほとんどのギターヘッドに装着可能。
本体サイドには充電用のUSB-Cポートが搭載されています。
付属の充電用USBケーブルはType-A to Type-Cで、長さは約56cmと何故か中途半端。
可動部はクリップ側と本体側の2点。
クリップ側は180度以上(本体がペグに当たるので、そこまで可動しませんでした)
本体側はボールジョイントになっているので、縦横斜めに自由に動きます。
ポン
WST-905Liの使い方
「WST-905Li」の測定精度は±1セントです。
高精度なチューナーだと±0.5セントや±0.02セントのものがありますが、いずれも高価格帯になるので、2,000円台の「WST-905Li」は値段相応の精度と言えます。
本体には全部で3つのボタンがついています。
電源 / チューニングM | : |
長押しで電源ON/OFF。電源が入った状態で短く押すとチューニングモードが切り替わる。 |
基準ピッチ / フラットM | : |
クロマチックモード時に押すと基準ピッチを変更。その他のモードではフラットチューニングを変更できる。 |
ディスプレイM | : | 押すごとにディスプレイモードを切り替えられる。 |
ポン
チューニングモードは全部で5つあり・・・
- クロマチック(C)
- ギタースタンダード(G-STD)
- ギターコンペンセーション(G-CPS)
- ベース
- ウクレレ
上記の順番で切り替わります。
通常はクロマチック(C)でチューニングします。
基準ピッチは430〜450Hzの間で設定できます。
初期設定では440Hzになっており、POPSや弾き語りで使用する場合は変更する必要はありません。
クロマチック(C)以外のモード時はフラット・チューニングが可能で、「♭」の数に応じて2半音まで下げることができます。
ディスプレイモードは全部で4種類あります。
好みのモードを選べば問題ないですが、一般的なチューナーと同じ表示は「Display Mode 1」です。
ギターコンペンセーションチューニングとは
「WST-905Li」にはギターコンペンセーションチューニング(G-CPS)というモードが搭載されています。
G-CPSとは、世界的に著名なギタリスト、ジェームス・テイラー(James Taylor)が提唱するギターの響きを最大限に引き出すチューニングのこと。
1st | E | -3 cent |
2nd | B | -6 cent |
3rd | G | -4 cent |
4th | D | -8 cent |
5th | A | -10 cent |
6th | E | -12 cent |
上記の設定で固定されたチューニングを行うことで、いつもと違った響きを得られます。
WST-905Liをレビュー
まず、僕の評価としては・・・
今後はこれが定番になるから、今のうちに買っておいて損はない。
クリップ式チューナーとしての基本的な機能や性能は問題なく、むしろ今までのチューナーよりも多機能な分、さまざまなシーンで使い分けできるのが魅力に感じました。
そんな「WST-905Li」の特徴は以下のとおりです。
セント表示でピッチを追い込める
「WST-905Li」の特徴のひとつに、チューニング時にセントが表示されることが挙げられます。
一般的にクリップ式チューナーは、メーターがセンターに到達しても、微妙なピッチのズレまでは表示できません。
「WST-905Li」はセントを表示させることで、ギリギリまでピッチを追い込めるのがメリット。
さくっとチューニングしたい時はメーターを見て、じっくりチューニングしたい時はセント表示を見る、といった使い分けができます。
残量が表示されるので電池切れの心配が少ない
充電式ならではの仕様として、バッテリー残量が常時表示されています。
3分割の残量表示はスマホで見慣れているので、違和感はありません。
充電中はメーターが動き、満充電で止まります。
バッテリー寿命は満充電で連続240分です。
リセット・ボタンがついている
「WST-905Li」はクリップ式チューナーには珍しく、リセット・ボタンがついています。
万が一バグが出たり、設定ボタンを押しすぎて迷ってしまった場合、初期モードに戻すことができます。
チューニングモード : クロマチック(C)
基準ピッチ : 440Hz
初心者の時は設定について分からないことが多く、初期モードで使用する人が多いと思います。
そういう意味でも、この仕様は地味に嬉しいですね。
尚、リセット・ボタンを押すためには先の細いクリップなどが必要です。
価格について
「WST-905Li」のメーカー希望小売価格は2,750円です。
実店舗でもネット通販でも同じ価格です。
この記事の執筆段階では、発売して間もないため値引きはされていませんが、今後安くなる可能性はあります。
まとめ
以上「WST-905Li」の特徴をおさらいすると・・・
- Type-CのUSBポートを搭載
- ギターコンペンテーションチューニングを搭載
- セント表示でピッチを追い込める
- 残量が表示されるので電池切れの心配が少ない
- リセット・ボタンがついている
- バッテリー寿命は連続240分
今後、これまでのボタン電池仕様のチューナーは充電式に取って代わると思われます。
すべて充電式になった場合、独自の機能で勝負するしかないのですが「WST-905Li」は、その先手を打ったと言える製品です。
ある意味、これがクリップ式チューナーの新しい基準になると思うので、是非使ってみてはいかがでしょうか。
この記事がチューナー選びの参考になれば幸いです。