カポタストの歴史は古く、記録に残っているだけでも1700年代の中期には既に使われていたそうです。
1700年代の後半には、いわゆるヨーク型と言われるシンメトリーのタイプが登場。
「https://kysermusical.com/blogs/news/history-of-the-capo」より引用
1〜6弦を均一に押弦できるのでピッチが安定するのがメリットですが、着脱に時間がかかることから、あまり市場に出回らなくなりました。
しかし近年、その性能が見直され、大手メーカーも高級ラインとしてヨーク型を発売しています。
その中で、今回購入したのがG7thの「Heritage Capo」(ヘリテージ・カポ)です。
最大の特徴は、伝統的なスタイルでありながら、G7th独自のテクノロジー・ART機構を搭載していること。
これにより、どんな形状の指板でも均一なピッチを保つことができます。
数あるカポタストの中でも2万円近い高級品なので、ずっと買うのを躊躇していましたが、物欲を抑えきれず買ってしまいました。
この記事では、僕と同じように購入をためらっている人に向けて、レビューしていこうと思います。
- ART機構による素直なサウンド
- 締め付け具合を調節できる
- 使わない時はナット上に取り付け可能
- 着脱に時間がかかる
Heritage Capoの概要
G7thの「Heritage Capo」は、ヨーク型のネジ式カポタストです。
Heritage Capo | |
方式 | ネジ式 |
重量 | 約35g |
締付調整 | 可能 |
実売価格 | 約2万2,000円 |
「Heritage Capo」は2種類あり、指板面のパットの長さが異なります。
スタンダード | : |
51mmまで |
ワイド | : |
55mmまで |
僕の所有するテイラーギターはナット幅が44.5mmですが、余裕をもってワイド・タイプを購入しました。
カラーバリエーションは「シルバー」の1色のみ。
海外では「ゴールド」も発売していますが、この記事の執筆段階(2023年1月)では日本未発売です。
パッケージは黒で統一され、Gthのロゴが印字された高級感あふれる仕上がり。
中には専用のレザーケースが入っていました。
本体の素材はステンレススチールで、職人の手で磨かれた鏡面仕上げ。
重量はメーカー公表値で34gですが、僕が量ると35gでした。
スタンダード・タイプの場合は29gです。
参考に他のメジャーなカポの重量は以下のとおり。
- SHUBB「C-1」: 51g
- Kyser「KG6」: 42g
- G7th「Performance 3 ART Capo」: 64g
サイズ感は、大きすぎず小さすぎず、手のひらにすっぽりと収まる程度。
SHUBB「C-1」との比較
Kyser「KG6」との比較
G7th「Performance 3 ART Capo」との比較
指板面のパッドの長さは先述したとおり55mmで、ほとんどのネックに対応しています。
ネック裏に当たるラバーは厚みがあり、内周もラバーが貼られているので大切なギターを傷つける心配は少ないです。
締め付け調節するノブにはGthのロゴが刻まれており、高級感の演出に一役買っています。
実際に弦を押さえた姿は、シンメトリーでシンプルかつお洒落。
Heritage Capoの使い方
「Heritage Capo」の装着の仕方は、2ステップに分かれています。
まず、上部のつまみを引き上げ、指板面を最大まで開きます。
次に、ネックの後ろからはめ込み、ノブを回して締め付ければ完了です。
ワンタッチで取り付けられるクリップ式と比べて、装着に時間がかかるのはデメリットですが、サウンドにこだわるならこれくらい苦ではありません。
ソロギターなどの曲間に時間的余裕がある場面では気にならないです。
指板のRに合わせて変形するART機構を搭載
「Heritage Capo」の最大の特徴は「ART(エーアールティー)機構」を搭載してること。
「https://www.g7th.com/what-is-art」より引用
指板のR(アール)に沿って弦を押さえるパットが変形することで、1〜6弦を均一な力で押さえることができます。
ポン
ナット上に装着しておける
カポを使用しない曲を演奏する時は、ナット上に装着しておくことができます。
ネジ式カポはヘッドに固定できないものが多いので、この収納方法はありがたいですね。
Heritage Capoをレビュー
まず、僕の評価としては・・・
ルックスやサウンドにこだわるなら買い!
シンプルなルックスに加えて、ART機構によるサウンドに魅力を感じるなら買って損することはないです。
- ART機構による素直なサウンド
- 装着に時間がかかる
ART機構による素直なサウンド
「Heritage Capo」を装着して弾いた感想としては・・・
「素直なサウンド」
まるでカポタストをつけていないかのようなスッキリとした鳴りです。
悪い言い方をすれば「味付けがなくつまらない音」
正直、好みが分かれるところですが、フィンガースタイルを中心とするプレイヤーには概ね高評価のようです。
装着に時間がかかる
使い方の章でも言及しましたが「Heritage Capo」は装着に時間がかかります。
ネジ式なので当然のことですが、バンドスタイルでのライブでは戦力になりません。
やはりフィンガーピッキング向けという結論ですね。
実際に買った人の評価は?
実際に「Heritage Capo」を購入した人の「良い評価」と「悪い評価」を集めてみました。
【良い評価TOP3】
- ハイフレットでも音詰まりが少ない
- サウンドが安定している
- ホールド感が良い
【悪い評価TOP3】
- 価格が高い
- 合わないネックがある
- ネジが外れる
「良い評価」の上位3つがサウンドの良さに関して。
どれもART機構の恩恵と言えます。
「悪い評価」のトップは圧倒的に「価格が高い」でした。
これに関しては懐事情によるところが大きいので、なんとも言えませんが・・・
個人的には価格の高さよりも、買ってよかったと思える割合の方が大きいです。
価格について
「Heritage Capo」のメーカー希望小売価格は2万6,400円です。
実店舗での実勢売価は約2万2,000円。
ネット通販でも同じような価格帯です。
まとめ
以上のことから「Heritage Capo」の特徴をおさらいすると・・・
- ART機構による素直なサウンド
- 締め付け具合を調節できる
- 使わない時はナット上に装着可能
- 装着に時間がかかる
シンメトリーなルックスはステージで映えること間違いなしです。
バンド演奏など、曲間での時間が短い場合は使用頻度は下がりますが、同じくART機構を搭載した「Performance 3 ART Capo」をおすすめします。
この記事がカポタスト選びの参考になれば幸いです。