Taylorの2022年の新作GTe Blacktopをレビュー!単板ウォルナットが復活

こんには、テイラーギターが大好きなポン(@pon_guitars)です。
 
2022年1月に発表されたテイラーの新作「GTe Blacktop」が、早くも国内の店頭に並び始めたので、さっそく試奏してきました!
 
Taylor公式HP」より引用
 
テイラーでは久しぶりとなる、単板のウォルナットをサイド&バックに採用しているということもあり、かなり期待していたのですが・・・
 
実際に触ってから、印象はちょっと変わりました。
 
この記事では、GTe Blacktopのスペックや試奏してみての印象から、どんな人に向いているモデルなのかを考察していきます。
 
メリット
  • 気軽に弾けるコンパクトサイズ
  • ウォルナットの単板サウンド
  • 手頃な価格
デメリット
  • フィニッシュはマット仕上げ
  • ネックの処理が下位モデル仕様

GTe Blacktopの基本スペック

 
テイラーのGTe BlacktopはGTシリーズからリリースされたコンパクトなミニギターです。
 
GTe Blacktop
ボディ・シェイプ  グランド・シアター
トップ材  シトカ・スプルース
サイド&バック材  ウォルナット
ネック材  トロピカル・マホガニー
フレットボード材  ユーカリ
ブレーシング  C-Class
ピックアップ  ES2
 
テイラーのオリジナル・シェイプでは一番小さいグランド・シアター、通称GTという形状です。
 
 
一般的にはミニギターに分類されますが、ひと回り大きいという特徴があります。
 
 
同じテイラーのグランド・コンサート(CG)の12フレットとほぼ同じサイズ感ですね。
 

専用設計のC-Classブレーシング

 
GTシリーズの特徴はボディのサイズ以外に、ブレーシングの構造にあります。
 
下の画像の左が従来のブレーシング「V-Class」で、右がGT専用の「C-Class」の概念図です。
 
 
「V-Class」はメインの骨組みが左右対称なのに対し「C-CLass」は片側にしかありません。
 
「C-Class」という名称の“C”はカンチレバー(Cantilever)の頭文字から取ったもので、いわゆる“片持ち梁”のような構造になっています。
 
 
この構造によって、ボディが小さくてもフル・ボディと同等のボリュームが得られます。
 
さらに、それまでのミニギターでは実現できなかったサスティーンの伸びも強化されています。
 

GTe Blacktopのスペック考察

 
ここからは上記の基本スペックを元に、GTe Blacktopの特徴を考察していきます。
 

単板のウォルナットが復活

 
GTe Blacktopのサイド&バックにはウォルナットという材が使われています。
 
 
ウォルナットは、いわゆるクルミの木のこと。
 
 
主に高級家具に使用される木で、ギターの材に使っているメーカーはごくわずか。
 
テイラーはその中でもウォルナットを定番材として使用してきた数少ないメーカーのひとつです。
 
2020年に惜しまれつつディスコンになった114ceは代表的なモデル。
 
しかし114ceに使われているウォルナットは合板です。
 
一方で、GTe Blacktopに使われているのは単板
 
テイラーからウォルナットの単板モデルが登場したのは16年ぶりのこと。
 
実は1998〜2006年まで「Wシリーズ」という単板ウォルナットの定番シリーズが存在していました。
 
2006年以降は数年に一度の割合でリミテッドモデルがリリースされていますが、いずれも50万円を超える高価格帯のものばかり。
 
そういった意味で、今回のGTe Blacktopは待望のモデルと言えます。
 
Taylor公式HP」より引用
 
ウォルナットのサウンドは、よく「ローズウッドとマホガニーの中間」と表現されます。
 
具体的には、低音域に膨らみのあるウォームなサウンドです。
 
個人的にはフィンガースタイルとの相性がとても良いと感じました。
 

バックは2ピース or 4ピース

 
GTe Blacktopにはバックの構成が2ピースのものと4ピースのものが存在します。
 
こちらは2ピース。センターに継ぎ目が見える。「Taylor公式HP」より引用
 
一般的にはバックの構成枚数が変わるとサウンドも変わりますが、テイラーは最先端の工業技術で同じサウンドに仕上げていると言われています。
 
ただし、個体差はそれなりにあります。
 
4ピースの個体は流通量が少ないようなので、運良く見かけたら試奏してみることをおすすめします。
 

トップはブラック塗装

 
GTe Blacktopのトップは、シトカ・スプルースにブラックの塗料を吹き付けた仕様です。
 
Taylor公式HP」より引用
 
ブラック塗装はテイラーのアメリカン・ドリームのAD17e Blacktopで初めて登場し、好評だったことから今回のGTe Blacktopでも採用されたと推測されます。
 
サウンド面は、音の輪郭が明確で粒立ちがハッキリした印象。
 
サイド&バックのウォルナットと組み合わさることで、ドンシャリ感がプラスされ、ミニギターとは思えない本格サウンドになっています。
 

フィニッシュはマット仕上げ

 
GTシリーズではボディ・フィニッシュに水溶性のマット塗料が採用されています。
 
TaylorBlog」より引用
 
テイラーでは定番のグロスと違い、光沢をおさえた仕上げでパッと見はサテン・フィニッシュに似ていますが・・・
 
さわり心地はザラっとしています。
 
悪い言い方をすれば、妙な引っ掛かりがあります。
 
正直、これはデメリットと感じました。
 

ネック処理は下位モデル仕様

 
ボディの仕上げと同様、デメリットと感じたのがネックの処理です。
 
テイラーのネック処理は、大きく2パターンあり・・・
上位モデル:ツルツルで引っかかりがない
下位モデル:ザラザラで引っかかりがある
今回のGTe Blacktopは後者です。
 
繊細なタッチを必要とするフィンガーピッカーには長時間の演奏は辛いかもしれません。
 

出荷時の弦はエリクサー

 
GTe Blacktopの出荷時に張られている弦はエリクサー(Elixir)のフォスファー・ブロンズ・ナノウェブ・ライト(Phosphor Bronze NANOWEB Light)です。
 

 
数ある弦の中でテイラーがエリクサーを推奨する理由は「長持ちするから」
 
一般的なメーカーの弦は1ヶ月ほどで錆び始めますが、エリクサーは、その2、3倍は持つと言われています。
 
その理由は、弦を極薄の膜でコーティングしているから。
 
elixirstrings.jp」より引用
 
このコーティングが湿気や汗などの皮膚に付着した汚れから弦を守ることで、サウンドの劣化を防ぎ、長持ちさせているのです。
 
最近は他メーカーでもコーティング弦が続々と発売されていますが、実は弦をまるごとコーティングしているのはエリクサーだけです。
 
まるごとコーティングはエリクサーの特許技術なので、他メーカーは真似できないというわけです。
 
他のメーカーは、巻弦の隙間はコーティングしていないので、その隙間から劣化が始まると言われています。
 
僕もいろんなメーカーの弦をテイラーに張って試してきましたが、今の所、エリクサーで落ち着いています。
 

 

価格は妥当

注意
2022年5月1日より価格改定が行われ、約2万6000円値上がりしています。下記の表も新価格に変更済みです。
 
GTe Blacktopの価格は以下の通りです。
 
※すべて税込み
  メーカー希望小売価格 実売参考価格
GTe Blacktop ¥368,500 ¥294,800
 
従来のウォルナットの単板モデルは50万円を超える高価格帯のものばかりでした。
 
GTe Blacktopは、コストを下げられる箇所はとことん下げて、この価格を実現しています。
 
単板でアメリカ製で20万円台は妥当と言えます。
 
ただ、一般消費者の立場から言えば、10万円代にして欲しいところ・・・。
 

GTe Blacktopはこんな人におすすめ

 
GTe Blacktopは、定番3桁シリーズ(300〜900番台)を所有していて、本格的で手頃なサイズのギターが欲しい人におすすめです。
 
個人的には、ミニギターは初心者向けとは言えません。
 
GTe Blacktopは、あくまでもフルボディを持っている人が自宅のリビングや寝室で軽く弾くためのお手軽ギターという印象です。
 

まとめ

 
以上のことからGTe Blacktopの特徴をおさらいすると・・・
 
メリット
  • 気軽に弾けるコンパクトサイズ
  • ウオルナットの単板サウンド
  • 手頃な価格
デメリット
  • フィニッシュはマット仕上げ
  • ネックの処理が下位モデル仕様
 
これだけの本格コンパクトギターが29万円で手に入るということを考えれば、この価格は企業努力の賜物と言えます。
 
そういった意味で、デメリットは大きな問題ではないかもしれません。
 
ただ、テイラーには是非、定番3桁シリーズと同等の仕様も投入して欲しいですね。
 
多分、価格は50万円を超えてくる可能性は十分ありますが、一定の需要は見込める気がします。
 
以上、ポン(@pon_guitars)のレビューでした!
 

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