当ブログには「Taylorのベストセラー!初心者にオススメの100・200シリーズを徹底解剖」という記事があり、公開当初から結構アクセスがあります。
何を知りたくてアクセスしているか調べてみると「114ce」について検索している人が多いみたいです。
テイラー(Taylor)の114ceは2020年に一度、生産終了がアナウンスされましたが、根強い人気から2022年に再びレギュラーラインとして復活。
初心者を中心に「最初の一本」として定番のモデルですが、この記事では、その人気の秘密を紐解いていこうと思います。
また、同じく人気モデルである214ceとの違いも解説していますので、どちらにするか迷われている人にも参考になれば幸いです。
Taylorの大人気モデル114ceを解剖
下の図はテイラーのシリーズをグレード別で分けたものになります。
114ceの100シリーズは下から2番目のエントリーシリーズです。
2007年の登場以来、同じくエントリーモデルの214ceと双璧をなす「初心者が最初に持つ一本」としての地位を確立。
まず、そんな114ceの基本スペックからおさえていこうと思います。
114ce-Walnut |
ボディ・シェイプ | グランド・オーディトリアム |
トップ材 | シトカ・スプルース |
サイド&バック材 | レイヤード・ウォルナット |
ネック材 | ハードロック・メイプル |
フレットボード材 | エボニー |
ブレーシング | X |
ピックアップ | ES2 |
サイド&バックは以前はサペリ(Sapele)という材でしたが、2017年にウォルナット(Walnut)に変更されました。
そのため、日本国内での正式名称は「114ce」の後ろに「-Walnut」が付きます。
ボディ・シェイプ
ボディ・シェイプとは、いわゆるボディの形状のこと。
テイラーには6つのボディ・シェイプがあり、114ceはグランド・オーディトリアム(Grand Auditorium)、通称GAという形状です。
GAはテイラーのボディ・シェイプ別の売上では一番人気の形状で、フラットピックによるストロークから、フィンガーピッキングまで幅広いプレイに対応した万能型。
初心者に限らず、初めてテイラーを買う人が最初に選ぶシェイプです。
トーンウッドについて
114ceのボディのトップに使われているのは、シトカ・スプルース(Sitka Spruce)という材です。
アコギでは定番の材で、テイラーでも下位機種から上位機種までほとんどのモデルで使用されています。
サイド&バックに使われているのは、レイヤード・ウォルナットという材。
ウォルナット(Walnut)は、いわゆるクルミの木です。
見た目通り、暖かみのあるサウンドで、煌めきも感じられます。
そして、一番大きな特徴が「レイヤード」であること。
レイヤードとは、いわゆる合板(ごうはん)の事で、ベニア板のように薄くスライスした木材同士を重ね、圧着させた板のことを言います。
一般的にアコギは、この合板と一枚板の単板に分けられます。
「Wood&Steel」より引用
上の図の、左が単板、右が合板です。
テイラーでは300番台以降のシリーズは単板、100・200シリーズは合板と棲み分けされていて、この違いが価格差にも現れています。
ちなみにテイラーでは「合板」という名称は用いず、一貫して「レイヤード」(Layered)と呼称しています。
その理由は、中間材にポプラを使用しているから。
一般的な合板のアコギ(エレアコ)は、中間材に木材ではない合成素材を使用しています。
テイラーでは、そうした合成素材ではなく、れっきとした木材(ポプラ)を使用していることをアピールするため「レイヤード」という言葉を使っています。
レイヤードは、単板と比べて剛性が高く、多少荒く扱っても壊れにくいのがメリットのひとつです。
と言っても、ギターを床に叩きつけるとかはダメですけど。
サウンド面に関しては、レイヤードは単板よりもレスポンスが早く、煌めいて聴こえます。
つまり114ceは、ウォルナットの暖かみに加え、レイヤード由来の煌めきが融合したサウンドを持っているのです。
初心者向けのナローネック
テイラーのエントリーモデル全般に共通しているのが、握りやすいナローネックを採用していることです。
ナローネックとは、一般的なネックよりも細いネックのこと。
テイラーのネックは大きく2種類に分けられており・・・
ナローネック | : |
42.9mm |
レギュラーネック | : |
42.9mm |
と、ナット幅に1.6mmほどの開きがあります。
ネックが細いことで、握りやすく、コードチェンジがしやすいというメリットがあります。
これも114ceの人気の理由になっています。
高品質なピックアップを搭載
テイラーの定番3桁シリーズには、全てES2(Expression System 2)という、独自のピックアップが搭載されています。
「HEARTBREAKER GUITARS」より引用
ピックアップとは、アコギ(エレアコ)の音を外部へ出力するためのもので、アンプに接続することで大音量が必要なステージなどで活躍します。
このピックアップには大きく2つの方式があり・・・
① ピエゾ方式 | : |
ピエゾ素子でギターの振動を拾い、電気信号に変換する方式 |
② マグネット方式 | : |
6本の磁石で各弦の振動を感知する方式 |
テイラーのES2は①のピエゾ方式を採用していますが、一般的なそれとは一線を画すタイプです。
一般的にピエゾ方式は、ピエゾ素子をブリッジサドルの下に配置していますが、テイラーでは、ブリッジサドルの後方にセンサーを設置。
これにより、エレアコにありがちな“ピエゾ臭”と言われる、不自然な機械音ではなく、ギター本来の箱なりに限りなく近いサウンドを再現することに成功しました。
このES2は、定番3桁シリーズに共通で搭載されています。
つまり、114ceは上位機種と同じピックアップを搭載した手頃なエレアコというわけです。
推奨弦はエリクサー
114ceの出荷時に張られている弦はエリクサー(Elixir)の「フォスファー・ブロンズ・ナノウェブ・ライト(Phosphor Bronze NANOWEB Light)」です。
数ある弦の中でテイラーがエリクサーを推奨する理由は「長持ちするから」
一般的にギターの弦は1ヶ月ほどで錆び始めますが、エリクサーは、その2、3倍持つと言われています。
その理由は、弦を極薄の膜でコーティングしているから。
「elixirstrings.jp」より引用
このコーティングが湿気や汗などの皮膚に付着した汚れから弦を守ることで、サウンドの劣化を防ぎ、長持ちさせているのです。
最近は他のメーカーからもコーティング弦が発売されていますが、実は弦をまるごとコーティングしているのはエリクサーだけです。
まるごとコーティングはエリクサーの特許技術なので、他メーカーは真似できないというわけです。
他メーカーは、巻弦の隙間をコーティングしない方法で製造しているため、その隙間から劣化が始まると言われています。
僕もいろんなメーカーの弦をテイラーに張って試してみましたが、今のところ、エリクサーで落ち着いています。
【Taylor】工場出荷時に張っている弦まとめ【Elixir / D’Addario】
214ceとの違い
114ceと共に根強い人気を誇るのが、同じくエントリーモデルの「214ce」です。
見た目は瓜二つなこの2モデルの主な違いは、以下の2点。
- サイド&バック材
- ネック材
サイド&バック材はレイヤード・インディアン・ローズウッド
214ceは、サイド&バックにレイヤードのインディアン・ローズウッド(Indian Rosewood)が採用されています。
インディアン・ローズウッドはインド東部が原産のトーンウッド。
切ったばかりの材はバラの様な香りがすることから、その名が付けられました。
そのサウンドは、低音域と高音域が前面に出て、中音域がやや控えめ。
そのため歌モノに最適と言われる材です。
ネック材はトロピカル・マホガニー
ネック材はトロピカル・マホガニー(Tropical Mahogany)が採用されています。
114ceに採用されているメイプルとの違いは、握った感覚です。
マホガニーは若干ザラッとしていて、メイプルはツルッとしています。
このあたりの感覚は好みの問題ですが、マホガニーと比べてメイプルは製造コストが安いため、114ceにはメイプルが採用されているのではと推測されます。
結局、どちらがいいのか。
結論から言うと、114ceと214ceは材によるサウンドの違いはあれど、弾き心地に大きな差異はないです。
つまり好きな音を選べばオーケーと言うことになります。
Taylorの214ce Rosewoodが人気の理由は?Koaとの違いなど徹底レビュー!
価格について
114ceと214ceも値上げの対象なので価格表も書き換えました。
以前、読まれた方は注意してください。
114ceに限らず、テイラーはどのモデルも市場価格は安定しており、どの店舗でも同じ価格で販売されています。
メーカー希望小売価格 | 実売参考価格 | |
114ce-Walnut | ¥214,500 | ¥171,600 |
214ce-Rosewood | ¥236,500 | ¥189,200 |
繰り返しますが、好みの音で選べばオーケーです。
尚、中古市場での販売価格は、どちらも10万円前後です。
特に抵抗がない人なら中古もおすすめです。
まとめ
以上のことから114ceの人気の秘密をおさらいすると・・・
- 初心者にも握りやすいナローネック
- 上位モデルと同じピックアップを搭載
- 定番3桁シリーズで最安値
この3点になります。
300以降のシリーズと比べると鳴りの良さという面では劣る部分はありますが、正直、サウンドの好みは千差万別です。
特にピックアップにつなげて演奏する機会が多い人には、単板か合板かと言った違いはあまり関係ないので、ここも114ceの人気の理由なのだと思います。