テイラー(Taylor)ギターの214ceと言えば、初心者向けのエントリーモデルとして代表的な存在です。
そんな214ceにはサイド&バックがローズウッド(Rosewood)とコア(Koa)の2モデルがあり、どれを買えばいいか悩む人も多いと思います。
この記事では、コア材を使っている214ce-Koaについて特徴や使用感などをレビュー。
また、ローズウッドのモデルとの違いなども解説していきます。
214ce-Koaの基本スペック
下の図は、テイラーが展開するシリーズをグレードごとに分類したピラミッドです。
200シリーズは「エントリー」に位置し、初心者が最初に触れるテイラーのギターとして知られています。
214ce-Koaは、その中でも2017年に発売した比較的あたらしいモデル。
214ce-Koa |
ボディ・シェイプ | グランド・オーディトリアム |
トップ材 | シトカ・スプルース |
サイド&バック材 | レイヤード・コア |
ネック材 | トロピカル・マホガニー |
フレットボード材 | エボニー |
ブレーシング | X |
ピックアップ | ES2 |
214ce-Koaの特徴
上記の基本スペックから読み取れる214ce-Koaの特徴は以下の通りです。
- 一番人気のボディ・シェイプを採用
- テイラーでは定番のコア材を使用
- 初心者向けのナローネック
- 高品質なピックアップを搭載
一番人気のボディ・シェイプを採用
ボディ・シェイプとは、いわゆるボディの形状のこと。
テイラーには6つのボディ・シェイプがあり、214ce-Koaはグランド・オーディトリアム(Grand Auditorium)、通称GAという形状です。
GAはテイラーのボディ・シェイプで一番人気で、フラットピックでのストロークからフィンガー・ピッキングまで幅広いプレイに対応した万能型。
初心者に限らず、初めてテイラーを買う人が最初に選ぶことの多いシェイプです。
テイラーでは定番のコア材
アコギのトーンウッドは、主にボディのトップとサイド&バックの2種類に分けられます。
214ce-Koaでは・・・
トップ材 | : |
シトカ・スプルース |
サイド&バック材 | : |
レイヤード・コア |
この2種類です。
シトカ・スプルース(Sitka Spruce)はマツ科の針葉樹。
アメリカのアラスカ州にある「シトカ市」を原産としているので、その名が付けられました。
アコギでは定番の材で、テイラーでもエントリーからハイエンドまで、ほとんどモデルで採用されています。
サイド&バックに使われているのはレイヤードのハワイアン・コア(Hawaiian Koa)という材。
名前の通りハワイが原産で、ウクレレの材としても知られています。
そのサウンドは、中音域の存在感が強く、明るくクリアな高音域が特徴。
新品の状態から引き込めば、甘いサウンドに変化する材です。
テイラーではコアを使ったモデルが数多くあり、テイラーの代名詞とも言える材です。
サイド&バックはレイヤード
214ce-Koaのサイド&バックに使われているコアは「レイヤード」です。
レイヤードとは、いわゆる合板の事で、ベニヤ板のように薄くスライスした木材同士を重ねて圧着させた材のこと。
対して、一枚の板をそのまま使っているのが単板です。
「Wood&Steel」より引用
テイラーでは300番台以降のシリーズは単板、200シリーズより下は合板と棲み分けています。
ちなみにテイラーでは「合板」という名称は用いず、一貫して「レイヤード」(Layerd)と呼んでいます。
その理由は、中間材にポプラを使用しているから。
一般的な合板のアコギ(エレアコ)は、中間材に合成素材を使用していることが多いです。
テイラーでは、れっきとした木材(ポプラ)を使用していることをアピールするために「レイヤード」という言葉を使っています。
レイヤードは、単板と比べて剛性が高く、多少荒く扱っても壊れにくいというメリットがあります。
反対に、単板と比べて鳴りが弱いという弱点もあります。
ただし、人によってはレイヤードの方がレスポンスが早く、煌めいて聴こえます。
つまり214ce-Koaは、コア特有の甘いサウンドに、レイヤード由来の煌めきが融合したサウンドを持っているのです。
初心者向けのナローネック
214ce-Koaのネックは、テイラーでもスタンダードなマホガニー(Mahogany)が採用されています。
マホガニーネックはアコギでは一般的な材で、強度も問題ありません。
テイラーのエントリーモデルのネックに共通しているのが、握りやすいナローネックを採用していること。
テイラーのネックは大きく2種類に分かれており・・・
- レギュラーネック・・・44.5mm
- ナローネック・・・・・42.9mm
と、ナット幅に1.6mmほどの開きがあります。
ナット幅が狭い(ネックが細い)ことで、握りやすくコードチェンジしやすいというメリットがあります。
これも214ce-Koaの人気の理由のひとつです。
高品質なピックアップを搭載
テイラーの定番3桁シリーズには、すべてES2(Expression System 2)という、独自のピックアップが搭載されています。
「HEARTBREAKER GUITARS」より引用
ピックアップとは、アコギ(エレアコ)の音を外部へ出力するためのもので、アンプに接続することで大音量が必要なステージなどで活躍します。
このピックアップには大きく2つの方式があり・・・
① ピエゾ方式 | : |
ギターの振動を拾い、電気信号に変換する方式 |
② マグネット方式 | : | 6本の磁石で音の振動を感知する方式 |
テイラーのES2は、①のピエゾ方式を採用していますが、一般的なそれとは一線を画しています。
一般的にピエゾ方式は、ピエゾ素子(センサー)をブリッジサドルの下に配置していますが、テイラーではブリッジサドルの後方(ブリッジピン側)に配置しています。
これにより、エレアコにありがちな“ピエゾ臭”と言われる不自然な機械音ではなく、ギター本社の鳴りに限りなく近いサウンドを実現しているのです。
つまり214ce-Koaは、上位モデルと同じ高品質なピックアップを搭載した手頃なエレアコというわけです。
推奨弦はエリクサー
214ce-Koaの工場出荷時に張られている弦はエリクサー(Elixir)の「フォスファー・ブロンズ・ナノウェブ・ライト(Phosphor Bronze NANOWEB Light)」です。
数ある弦の中で、テイラーがエリクサーを推奨する理由は「長持ちするから」
一般的なメーカーの弦は1ヶ月ほどで錆び始めますが、エリクサーは、その2、3倍は持つと言われています。
その理由は、弦を極薄の膜でコーティングしているから。
「elixirstrings.jp」より引用
このコーティングが湿気や汗など、皮膚に付着した汚れから弦を守ることでサウンドの劣化を防いでいるのです。
最近は他メーカーでもコーティング弦が発売されていますが、実は弦を丸ごとコーティングしているのはエリクサーだけです。
まるごとコーティングはエリクサーの特許技術なので、他メーカーは真似できないというわけです。
他メーカーは、巻弦の隙間はコーティングしていないので、その隙間から劣化が始まると言われています。
僕もいろんな弦をテイラーに張って試してきましたが、今のところエリクサーで落ち着いています。
214ce Rosewoodとの違い
冒頭でも書きましたが、214ceにはサイド&バックがインディアン・ローズウッドのモデルもあります。
インディアン・ローズウッドはインド東部が原産のトーンウッド。
そのサウンドは低音域と高音域が前面に出て、中音域はやや控えめ。
そのため歌モノに最適と言われる材です。
KoaとRosewood、どちらがおすすめ?
ハワイアン・コアは新品の状態から弾き込むと、甘いサウンドに変化する材です。
しかし、先述した通り214ce-Koaのサイド&バックはレイヤード。
レイヤードはサウンドの変化が少なく、材本来の楽しみ方は期待できません。
とは言え、それぞれ弾き比べると確実に「違い」はあります。
僕の結論としては「好みのサウンドで選べばOK」です!
Taylorの214ce Rosewoodをレビュー!人気の理由は?Koaとの違いなど徹底比較!
314ceとの違い
214ce-Koaの購入を考えている人の中には、上位モデルの314ceと比較する人が多いです。
314ceは・・・
- アメリカ製
- オール単板ボディ
- V-Classブレーシング
と、スペック面で214ce-Koaよりも優位性があることは否定できないです。
ただし、価格差もかなりあるので、詳しく知りたい人は関連記事を読んでみてください。
Taylorの214ceと314ceはどちらがおすすめ?そもそも違いは何?これを読めば解決!
価格について
214ce-Koaはエントリーモデルながら、実勢で20万円を超える強気な価格設定です。
参考に214ce Rosewoodの価格も掲載しています。
メーカー希望小売価格 | 実売参考価格 | |
214ce-Koa | ¥236,500 | ¥189,200 |
214ce RW | ¥264,000 | ¥211,200 |
ローズウッドよりも売価が高いのは、材そのものの価格が高いから。
実は元々、214ce-Koaも10万円台で買えたのですが、円安の影響もあり2022年に値上がりしています。
ただ、まれに特価(旧売価)で売り出されることがあるので、急ぎでない人はときどき価格をチェックすることをおすすめします。
また、中古市場の相場は10万円前半となっています。
中古に抵抗がない人なら初期コストを抑えて、2本目にハイエンドを狙うという買い方もおすすめです。
まとめ
以上のことから214ce-Koaの特徴をまとめると・・・
- 初心者にも扱いやすいレイヤードボディ
- 握りやすいナローネック
- 上位モデルと同じピックアップを搭載
- 単板に比べて鳴りが弱い
- 価格が高い
先述した314ceなどの単板モデルと比べると、鳴りの良さという面では劣るものの、正直、サウンドの好みは千差万別です。
特にピックアップにつなげて演奏する場合は、単板か合板かといった違いはあまり関係ないので、ここも214ce-Koaの人気の理由なのだと思います。