テイラー(Taylor)ギターには初心者向けのエントリーモデルからプロ向けのハイグレードモデルまで、多種多様なモデルがあります。
中でも、予算に余裕のある初心者から、2本目、3本目を狙う中級者に人気のモデルが312ceと314ceです。
(上)314ce (下)312ce
共に定番3桁シリーズの300番台として、上位クラスのエントリーモデルですが、この2モデルは何が違うのか?
この記事では、これらのスペック面での違いを解説。
さらに、どういったプレイにどのモデルが向いているかなどを考察していきます。
Taylorの300シリーズとは
312ceと314ceの違いを解説する前に、テイラーの300シリーズについて説明します。
「もう知ってるよ!」という人は次の章(←ココをクリック!)で2モデルの違いを説明してますので、飛ばしてもらって問題ありません。
300シリーズは1998年に登場したテイラーでは比較的新しいシリーズです。
そもそもテイラーのシリーズは基本的に100〜900番の3桁の数字で分かれており、100/200シリーズは合板モデル、300以降のシリーズは単板モデルと棲み分けされています。
300シリーズは単板モデルで最安値という事もあってテイラーの売り上げでも上位に入るシリーズです。
300シリーズの基本スペック
300シリーズはボディのサイド&バックにサペリ(Sapele)という材を使用しています。
サペリはマホガニーの代替材として知られ、近年、トーンウッドとして採用するメーカーが増えている注目の材。
しかし、まだその数は少なく、テイラーのように定番モデルに採用している例は比較的珍しい方です。
サウンド面では、低音域から高音域までのバランスが良く、端切れの良いモダンなサウンドです。
個人的な印象では20〜30代の若い世代に支持されているシリーズですね。
その他の基本スペックは下記の通り。
300シリーズの共通スペック | |
トップ材 | シトカ・スプルース |
サイド&バック材 | サペリ |
ネック材 | トロピカル・マホガニー |
フレットボード材 | エボニー |
ブレーシング | V-Class |
ピックアップ | ES2 |
312ceと314ceの違い
いきなり結論ですが、312ceと314ceの一番の違いはボディ・シェイプです。
細かく言うと、ボディのサイズや厚みが違います。
下の図は、テイラーが展開しているボディ・シェイプの一覧です。
312ceはグランド・コンサート
312ceはグランド・コンサート、通称GCという形状です。
テイラーのラインナップでは2番目に小さな形状で、一般的に00(ダブルオー)スタイルと呼ばれています。
314ceはグランド・オーディトリアム
314ceはグランド・オーディトリアム、通称GAという形状です。
GCよりも一回り大きく、ボディ・シェイプ別の売り上げでは一番人気の形状です。
どんなプレイヤーに向いているか
312ceはコンパクトボディという特性から、小柄な女性や男性を中心に人気のシェイプです。
プレイスタイルとしては、ソロギターなどのフィンガースタイルを嗜む人に愛用者が多いモデルとなっています。
その理由は、コンパクトかつボディの厚みがGAよりも薄いこと。
その分、身体に引き寄せて弾くことができ、繊細なプレイがしやすくなっています。
314ceはフラットピックでのストロークでも十分、ボリュームを稼ぐことのできるシェイプです。
弾き語りなどをしたいという人には314ceがおすすめです。
その他の違い
ボディ・シェイプ以外の違いで特筆すべき点は、ネック・スケールの違いです。
ネック・スケールとは、ネックの長さのこと。
314ceは647.7mm、対する312ceは631.8mm。
312ceの方が少し短くなっています。
314ceは一般的なスケールで、312ceはショートスケールと呼ばれます。
314ceのスケールに関しては他のメーカーとほぼ同じですが、なぜ312ceはショートスケールなのか?
その理由は、ショートスケールはフレットとフレットの距離が短いので手が小さい人でもコードが押さえやすいからです。
先述したように、312ceがフィンガースタイル向きと言ったのも、ここに理由があります。
使用されている弦について
312ceと314ceの出荷時に張られている弦は、共にエリクサー(Elixir)の「フォスファー・ブロンズ・ナノウェブ・ライト(Phosphor Bronze NANOWEB Light)」です。
数ある弦の中でテイラーがエリクサーを推奨する理由は「長持ちするから」
一般的にギター弦は1ヶ月ほどで錆び始めますが、エリクサーは、その2、3倍持つと言われています。
その理由は、弦を極薄の膜でコーティングしているから。
「elixirstrings.jp」より引用
このコーティングが湿気や汗などの皮膚に付着した汚れから弦を守ることで劣化を防ぎ、長持ちさせているのです。
最近は他のメーカーからもコーティング弦が発売されていますが、実は弦をまるごとコーティングしているのはエリクサーだけです。
まるごとコーティングはエリクサーの特許技術なので、他メーカーは真似できないというわけです。
他メーカーは、巻弦の隙間をコーティングしない方法で製造しているため、そこから劣化が始まると言われています。
僕もいろんなメーカーの弦をテイラーに張って試してみましたが、今のところテイラーで落ち着いています。
価格について
それに伴い、下の価格表も書き換えましたので以前読まれた方は注意してください。
312ceと314ceは、メーカー小売希望価格と実売参考価格は共に同価格となっています。
メーカー希望小売価格 | 実売参考価格 | |
312ce | ¥478,500 | ¥382,800 |
314ce | ¥478,500 | ¥382,800 |
テイラーは基本的に、販売価格が安定しており、どの店舗でも同じ価格です。
ただし、ネット通販なら安く売り出されている場合もありますので、定期的に買い回ってみるのもアリです。
まとめ
以上のことから312ceと314ceの違いをまとめると・・・
- 312ceはフィンガースタイル向き
- 314ceは弾き語り(ストローク)向き
以上のことが言えます。
と言っても、314ceでソロギターをする人もいれば、312ceで弾き語りをする人がいるのも事実です。
実際に試奏してみて自身が弾きやすいと感じたものを買うことが一番だと思います。