Taylorの814ceをレビュー!これが真のフラッグシップモデル

ほとんどのギターメーカーにはフラッグシップモデルが存在します。

マーチンではD-45、ギブソンではJ-45などが有名ですが・・・

テイラー(Taylor)のフラッグシップと言えば「814ce」です。

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image : Taylor

814ceは1996年の登場以来、幾度となく改良を重ね、テイラーの基準となるサウンドを確立させてきました。

この記事では、そんな814ceについて深堀りしていきます。

 814ceの基本スペック

下の画像はテイラーが展開するシリーズをグレード別に分類したピラミッドです。

814ceの800シリーズは「定番」に位置しますが、その中でも上位のフラッグシップという立ち位置です。

814ce

ボディ・シェイプ  グランド・オーディトリアム
トップ材  シトカ・スプルース
サイド&バック材  インディアン・ローズウッド
ネック材  トロピカル・マホガニー
フレットボード材  スモーキー・エボニー
ブレーシング  V-Class
ピックアップ  ES2

上記の基本スペックから読み取れる814ceの特徴は以下のとおり。

一番人気のGAシェイプ

814ceのボディ・シェイプはテイラーでも一番人気のグランド・オーディトリアム、通称GAという形状です。

GAは1994年にテイラーの創立40周年記念として発表されたオリジナル・シェイプ。

大きすぎず、小さすぎず、フィンガー・ピッキングからフラットピックでのストロークまで幅広いプレイに対応した万能型です。

アコギの定番「スプルース×ローズウッド」

トップに使われるのは、シトカ・スプルース(Sitka Spuruce)という材。

taylorguitars.com」より引用

アコギの定番材で、テイラーでもほとんどのモデルで使用されています。

サイド&バックもアコギの定番、インディアン・ローズウッド(Indian Rosewood)という材です。

taylorguitars.com」より引用

インディアン・ローズウッドは、インド東部が原産のトーンウッド。

トーンウッド
楽器に使用される木材の総称。

切ったばかりの材はバラのような香りがすることから、その名が付けられました。

そのサウンドは、低音域と高音域が前面に出て、中音域はやや控えめ。

そのため「歌モノに最適」と言われています。

テイラー独自のV-Classブレーシング

ブレーシングとは、ギターのボディ内部に張られた棒状の材のこと。

テイラーのブレーシングはメインの骨組みがV(ヴイ)状に張られた「V-Classブレーシング」が採用されています。

taylorguitar.jp」より引用

V-Classはテイラーが2018年に開発したオリジナルのブレーシングで、一般的なブレーシングと形状が異なります。

一般的なブレーシングは、メインの骨組みがX(エックス)状に張られた「Xブレーシング」です。

NEW ATLAS」より引用

Xブレーシングは、マーチンが100年以上前に開発し、現在は多くのメーカーが採用しています。

XブレーシングとV-Classブレーシングを並べてみると、その構造の違いは一目瞭然。

V-ClassブレーシングはXブレーシングと比べて、音の分離やサスティーンが向上しています。

サスティーン
音を鳴らしてから聴こえなくなるまでの長さのこと。音の持続性を表す言葉。

さらにV-Classブレーシングになったことで、コンパクトなボディでも音量を稼ぐことができるようになったことも特筆すべき点です。

広めだけど弾きやすいナット幅

ナット幅とは、ギターのヘッドと指板の間にあるパーツを「ナット」と言い、その幅のことを指します。

テイラーではシリーズによって2種類のナット幅があり・・・

42.9mm :

ナローネック

44.5mm :

レギュラーネック

814ceナット幅44.5mmのレギュラーネックを採用しています。

taylorguitars.com」より引用

レギュラーネックとナローネックのナット幅の差は、わずか1.6mmですが、握った感覚は全く違います。

ナローネックは下位シリーズ(200番台以下)で採用されており、初心者が握りやすくコードチェンジしやすいというメリットがあります。

一方のレギュラーネックは、300番台以降の上位シリーズで採用されている定番ネック。

特にフィンガー・ピッキングをする人は、頻繁に押弦するので広めの指板を好みます。

そもそもテイラーのネックは他のメーカーと比べて薄めに作られているので、44.5mmでも押弦しやすいという特徴があります。

高品質なピックアップを搭載

テイラーの定番3桁シリーズには、すべてES2(Expression System 2)という独自のピックアップが搭載されています。

taylorguitars.com」より引用

ピックアップとは、アコギ(エレアコ)の音を外部へ出力するためのもので、アンプに接続することで大音量が必要なステージなどで活躍します。

一般的に、このピックアップには大きく2つの方式があり・・・

① ピエゾ方式 :

ギターの振動を拾い、電気信号に変換する方式

② マグネット方式 :

6本の磁石で各弦の振動を感知する方式

テイラーのES2は、①のピエゾ方式を採用していますが、一般的なそれとは一線を画しています。

一般的にピエゾ方式は、ピエゾ素子(センサー)をブリッジサドルの下に配置していますが、テイラーではブリッジサドルの後方に配置。

これにより、エレアコにありがちな“ピエゾ臭”と言われる不自然な機械音ではなく、ギター本来の箱鳴りに限りなく近いサウンドを再現してくれます。

その他の仕様

一般的なアコギのピックガードは合成樹脂でできていますが、814ceのピックガードはサイド&バックと同じローズウッドです。

taylorguitars.com」より引用

見た目の高級感は圧倒的にローズウッドの方がいいですね。

バインディングも木材(メイプル)です。

taylorguitars.com」より引用

プラスチックのように経年変化で黄ばむことがないので、見た目の美しさが継続します。

指板は、まだら模様が特徴のスモーキーエボニーを採用。

taylorguitars.com」より引用

個体によって模様は様々なので、好みの柄で選ぶという楽しさもあります。

 814ceをレビュー

ここからは、僕が実際に試奏してみての評価を述べていきます。

まず、結論としては・・・

生音もPUもフィンガースタイルもストロークも何でもこなせるオールマイティ。これ一本あれば大丈夫。

814ceは弾いていて、他のモデルよりも心地良さや安心感があります。

それが何なのか、分析してみると・・・

主にこの3つの特徴に秘密があります。

「Aグレード」でルックスも最高

814ceを手にとって、まず惹かれたのがサイド&バックのローズウッドの美しさです。

ローズウッドは和名を「紫檀(したん)」と言い、より紫に見えるものほど等級(グレード)が上がります。

400 Series :

グレードなし

800 Series :

A(シングルエー)

900 Series : AA(ダブルエー)

814ceのグレードは「A」となります。

「A」は「グレードなし」と比べて、木目がくっきりとし、より真っ直ぐなものが選ばれます。

414ce-Rと814ceを比較したレビューはこちら

ちなみに900シリーズの「AA」は、詳細は割愛しますが段違いの美しさです。

その分、価格も100万円を超えます・・・。

弾き心地の良さに直結するアームレストを搭載

814ceのボディには、右腕が当たる箇所に斜めにカットされたアームレストが付いています。

taylorguitars.com」より引用

これがあるだけで長時間の演奏でも右腕が痛くなりにくく、腕を上げる角度も浅くなるので弾きやすくなります。

正直、一度これを経験してしまうと、他のギターが弾けなくなるほど便利です。

いっそのこと全てのアコギにつけて欲しいくらいですね。笑

極薄塗装で鳴りも上位クラス

814ceの最大の特徴は、他のシリーズよりも「鳴り」がいいこと。

これを実現している要因のひとつがボディの塗装です。

taylorguitars.com」より引用

テイラーの定番3桁シリーズ(300〜900番台)はグロス・フィニッシュとなっており、標準の厚みは6.0mil(ミル)です。

6.0mil = 0.1524mm

一方、814ceは4.5mil。

4.5mil = 0.1143mm

標準よりも塗膜が薄いので、材がより振動しやすくなっています。

これが814ceの圧倒的な鳴りを生む要因のひとつです。

 推奨弦はエリクサー

814ceの出荷時に張られている弦はエリクサー(Elixir)の「フォスファー・ブロンズ・ナノウェブ・ライト(Phosphor Bronze NANOWEB Light)」です。

数ある弦の中でテイラーがエリクサーを推奨する理由は「長持ちするから」

一般的なメーカーの弦は1ヶ月ほどで錆び始めますが、エリクサーは、その2〜3倍は持つと言われています。

その理由は、弦を極薄の膜でコーティングしているから。

elixirstrings.jp」より引用

このコーティングが湿気や汗など、皮膚に付着した汚れから弦を守ることで、サウンドの劣化を防いでいます。

最近は他メーカーでもコーティング弦が発売されていますが、実は弦をまるごとコーティングしているのはエリクサーだけです。

まるごとコーティングはエリクサーの特許技術なので、他メーカーは真似できないというわけです。

他メーカーは、巻弦の隙間はコーティングしていないので、その隙間から劣化が始まると言われています。

僕もいろんなメーカーの弦をテイラーに張って試してきましたが、今のところエリクサーで落ち着いています。

【Taylor】工場出荷時に張っている弦まとめ【Elixir / D’Addario】

 価格について

注意
2022年7月1日より価格改定で値上げされました。
それに伴い、下の価格表も書き換えましたので以前読まれた方は注意してください。

814ceのメーカー希望小売価格、実売参考価格は以下の通りです。

※すべて税込み
  メーカー希望小売価格 実売参考価格
814ce ¥880,000 ¥704,000

テイラーは販売価格が比較的安定しており、全国的に一律の価格設定となっています。

ただ、まれに特価で売り出されることがあるので、急ぎでない人はときどき価格をチェックしてみることをおすすめします。

 中古も狙い目

814ceの中古相場は、個体の状態にもよりますが約30〜50万円です。

中古の場合、2018年以前のモデルはV-ClassブレーシングではなくXブレーシングとなっていますので注意が必要です。

ちなみにV-ClassとXは、ナットの色で見分けることが可能。

V-Classは「黒」Xは「白」です。

楽天市場でも814ceの中古を探せます

 まとめ

814ceは1996年の発売からリニューアルを繰り返し、ブラッシュアップを重ねてきたモデルです。

その度に、同じモデルとは思えないほど、見た目もサウンドも違います。

個人的には最新のモデルが一番好きですが、90年代のワンピースネックや生産終了になった814ce DLXもコレクションしたいくらい欲しいです。(お金がないのでしませんが・・・)

ちなみに814ceは他のモデルよりも中古市場で手に入りやすいので、年代別で弾き比べてみるのも面白いです。

他のモデルを検討中でも、一度は試奏してみることをおすすめします。

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