こんには、テイラーギターが大好きなポン(@pon_guitars)です。
2022年1月にテイラーのアメリカン・ドリーム・シリーズ(American Dream Series)から新作が登場しました!
それが「AD27e Flametop」です。
「Taylor公式HP」より引用
最大の特徴は、何と言ってもオールメイプル仕様!
トップ材もサイド&バック材もすべてメイプルというのはテイラー史上初です。
この記事では、AD27e Flametopの基本スペックや試奏してみての印象から、どんな人に向いているモデルなのかを考察していきます。
- 史上初のオールメイプル仕様
- 触り心地の良いサテン仕上げ
- ネックの処理が下位モデル仕様
- 価格は割高
AD27e Flametopの基本スペック
テイラーのAD27e FlametopはADシリーズからリリースされたオールメイプル仕様のギターです。
AD27e Flametop |
ボディ・シェイプ | グランド・パシフィック |
トップ材 | ビッグ・リーフ・メイプル |
サイド&バック材 | メイプル |
ネック材 | ハードロック・メイプル |
フレットボード材 | ユーカリ |
ブレーシング | V-Class |
ピックアップ | ES2 |
ボディ・シェイプはADシリーズでは定番のグランド・パシフィック、通称GPという形状。
GPは2019年に発表された形状で、アコギの定番であるドレッドノートのテイラー版です。
一般的にドレッドノートはボディに厚みがあり箱鳴りしやすい形状ですが、GPは薄ボディなので、より身体に引き寄せて弾くことができます。
さらに倍音が効いていて低音域と高音域が前面に出てくるボリュームのあるサウンドが特徴。
弾きやすさと、大きなサウンドを両立させた形状となっています。
ブレーシングはV-Class
ブレーシングとは、ボディの強度を上げるためにギターの内側に張られた棒状の材のこと。
V-Classブレーシングはテイラーのオリジナル設計で、メインの骨組みが左右対称に「V」(ヴイ)状に張られています。
「Taylor公式HP」より引用
従来のブレーシングは、メインの骨組みが「X」(エックス)状に張られたXブレーシングが一般的でした。
「NEW ATLAS」より引用
2つの構造を並べてみると、その違いは一目瞭然。
V-ClassブレーシングはXブレーシングと比べて、音の分離やサスティーンが強化されています。
これまでV-Classブレーシングは、上位シリーズである300番台以降のモデルにしか採用されていませんでした。
ADシリーズはエントリーモデルながら、このV-Classブレーシングを採用。
低価格ながらサウンドを追求したシリーズです。
AD27e Flametopのスペックを考察
ここからは上記の基本スペックを元に、AD27e Flametopの特徴を考察していきます。
史上初のオールメイプル
AD27e Flametopの最大の特徴は、ボディのトップもサイド&バックもメイプルという材が使われていること。
「Taylor公式HP」より引用
メイプルとは、いわゆる楓(かえで)の木のこと。
テイラーでは、これまでにマホガニーやコアなど全て同一の材で構成したギターは存在していましたが、オールメイプルは史上初。
メイプルと言えば、低音域から高音域にかけてフラットなサウンドが特徴ですが・・・
AD27e Flametopはオールメイプルということもあり、音の輪郭がよりハッキリ聴こえる印象です。
特に弾き語りだと、音の分離が良いので他のギターと差別化できると感じました。
バックは2ピース or 4ピース
AD27e Flametopにはバックの構成が2ピースのものと4ピースのものが存在します。
こちらは2ピース。センターに継ぎ目が見える。
一般的にはバックの構成枚数が変わるとサウンドも変わりますが、テイラーは最先端の工業技術で同じサウンドに仕上げていると言われています。
ただし、個体差はそれなりにあります。
4ピースの個体は流通量が少ないようなので、運良く見かけたら試奏してみることをおすすめします。
ボディ・フィニッシュはサテン仕上げ
AD27e Flametopのボディ・フィニッシュはポリウレタンを吹き付けたサテン仕上げです。
「TaylorBlog」より引用
サテンはツヤ出しのための研磨工程を省略することで低コストでの製造が可能。
200シリーズの一部モデルや300シリーズのサイド&バックにも採用されています。
サテン・フィニッシュの特徴は、表面が凹凸になるため、ベタつかずサラサラとした触り心地です。
ポン
ネック処理は下位モデル仕様
AD27e Flametopはネック材もメイプルです。
定番3桁シリーズの600番台もメイプルなので、同じ物が流用されていると推測されますが、握った感じはかなり違います。
テイラーのネック処理は、大きく2パターンあり・・・
上位モデル:ツルツルして引っかかりがない
下位モデル:ザラザラして引っかかりがある
AD27e Flametopは後者です。
繊細なタッチを必要とするフィンガーピッカーには長時間の演奏は辛いかもしれません。
出荷時の弦はダダリオ
AD27e Flametopの工場出荷時に張られている弦はダダリオ(D’Addario)のニッケルブロンズです。
テイラーの弦と言えばエリクサー(Elixir)が有名ですが、ADシリーズに関してはダダリオで統一されています。
なぜダダリオなのかと言うと、エリクサー弦が枯渇しているからです。
テイラーはエリクサー社から大量に出荷用弦を取り寄せています。
ところが2020年以降のコロナ禍でギターの需要が大きく伸び、エリクサー社から弦の供給が間に合っていないのです。
悪い言い方をすれば、間に合わせでダダリオ弦を張ったということなのですが、もちろんダダリオが悪いわけではありません。
ダダリオでもエリクサーでも、テイラー公認で好みの弦に張り替えて使用できるというメリットとして捉えることができます。
価格は割高・・・
それに伴い、下の価格表も書き換えましたので以前読まれた方は注意してください。
AD27e Flametopの価格に関して、個人的な印象は「割高感が否めない」です。
既存のADシリーズと比較してみると・・・
メーカー希望小売価格 | 実売参考価格 | |
AD27e Flametop | ¥506,000 | ¥404,800 |
AD27e | ¥396,000 | ¥316,800 |
AD17e | ¥396,000 | ¥316,800 |
AD17e Blacktop | ¥451,000 | ¥360,800 |
AD27e Flametopだけ、実売で40万円を超えます。
メイプル自体が近年、価格が高騰していることを考えれば仕方がない部分はありますが・・・。
317eという選択肢もあり
AD27e Flametopと同じGPシェイプには、定番3桁シリーズの317eというモデルがあります。
バインディングあり・エボニー指板・グロス仕様のトップなど、グレードとしては317eの方がワンランク上です。
にも関わらず、実売は約38万円とAD27e Flametopより安いのが売り。
見た目やサウンドは全く違いますが、AD27e Flametopを検討している人は317eも選択肢に入れることをおすすめします。
AD27e Flametopはこんな人におすすめ
AD27e Flametopは、ドレッドノートでも他者と違うサウンドが欲しいという人におすすめです。
「Wood&Steel」より引用
ドレッドノートは弾き語りをする人に人気のシェイプで、シトカ・スプルースとインディアン・ローズウッドの組み合わせが一般的です。
オールメイプルのドレッドノートは、どのメーカーでも作っておらずテイラーの専売特許とも言えます。
他の人と被らないという意味でも、AD27e Flametopは独自のサウンドと言えます。
まとめ
以上のことからAD27e Flametopの特徴をおさらいすると・・・
- 史上初のオールメイプル仕様
- 触り心地の良いサテン仕上げ
- ネックの処理が下位モデル仕様
- 価格は割高
2022年一発目の新モデルとしてAD27e Flametopはインパクトのあるスペックです。
個人的には定番3桁シリーズと同等の仕様でもオールメイプルを弾いてみたいですね。
テイラーも多様な層を取り込むために、色々なモデルを投入していますが、最終的にはサウンドの好みで選ぶのがベスト。
必ず試奏することをおすすめしますが、この記事がギター選びの参考になれば幸いです。