テイラー(Taylor)に限らず、アコースティックギターを選ぶ際のポイントに“木材”の違いがあります。
同じボディ・シェイプのギターでも、使われている木材によってサウンドは大きく異なり、好き嫌いが分かれるところでもあります。
この記事では、テイラーのギターに使われている木材の特徴を解説しています。
是非、ギター選びの参考にしてみてください。
Taylorで使われている木材
テイラーではシリーズによって様々な木材が使われています。
タイトルにある「トーン・ウッド」とは、楽器に使われる木材の総称です。
この記事では、各シリーズごとにサイド&バックに使われる木材の解説をしていきます。
前提として、参考として表示しているギターはすべてグランド・オーディトリアム(GA)というボディ・シェイプです。
また、今回は型番が300以上の単板シリーズのみの紹介です。
300シリーズ
サペリ
300シリーズは単板シリーズでもエントリーモデルと呼ばれ、サイド&バックにサペリ(Sapele)という材を使用しています。
サペリは主にアフリカの赤道付近に分布する広葉樹。
明るくクリアで歯切れのいいサウンドが特徴で、後述するマホガニーによく似た音を持っています。
低音域から高音域までバランスの取れたギターを探している人にピッタリのモデルです。
マホガニー
また300シリーズには、マホガニー(Mahogany)という材を使用したモデルも存在します。
有名どころだと、ギブソン(Gibson)のJ-45が代表的なモデルですね。
テイラーのマホガニーは中南米産で、中音域にふくらみのあるウォーム・サウンドが特徴。
オーバートーンが少なく、ドライでウッディな音で、力強いアタックに素直に反応してくれます。
高音域も艷やかなので、ピックによるストロークを多用する人にオススメです。
アーバン・アッシュ
さらに、こちらはアーバン・アッシュ(Urban Ash)という材を使用したモデル。
アーバン・アッシュは直訳すると「都市の灰」
なんだか、おどろおどろしい名前ですが、その正体は街路樹です。
テイラーの本拠地である米・カリフォルニア州には、街の至る所に街路樹が植えてあり、行政によって定期的に植え替えを行っています。
役目を終えた樹は、薪(まき)などに再利用されていましたが、テイラーがこの樹を買い取りトーンウッドとして蘇らせたのがアーバン・アッシュです。
本来は灰になってしまう樹=アーバン・アッシュというわけです。
分類としてはマホガニー属で、ダークかつディープなサウンドが特徴。
フィンガースタイルとも相性のいい印象です。
400シリーズ
しばらく在庫があるうちは掲載しますが、終了次第削除する予定です。
オヴァンコール
続いての400シリーズには、オヴァンコール(Ovangkol)が使用されています。
オヴァンコールはアフリカ産のトーンウッド。
Taylorの上位機種で使われているローズウッドに似ていますが、低音域から中音域にかけて力強い音、高音域は煌めきがあり、歯切れの良いサウンドが特徴です。
また、400シリーズにはインディアン・ローズウッド(Indian Rosewood)のモデルも用意されています。
こちらは700・800・900シリーズで解説していますので、そちらを参照してください。
500シリーズ
アーバン・アイアンバーク
500シリーズのサイド&バックには、アーバン・アイアンバーク(Urban Ironbark)という木材が使われています。
「アーバン」と名前が付いている通り、300シリーズの「アーバン・アッシュ」と同じ、街路樹が使われています。
アーバン・アイアンバークはユーカリの仲間で、甘いサウンドが特徴。
フィンガーピッキングのような繊細なニュアンスを表現したい人にオススメです。
600シリーズ
メイプル
600シリーズのサイド&バックには、トラ目の美しいメイプル(Maple)という材が使われています。
メイプルは、いわゆる楓の木のことで、ギブソンの名器SJ-200やレスポールに採用されている、ギターではお馴染みの材です。
テイラーではアメリカ北部からカナダにかけて生育しているものを使用。
その特徴はプレイヤーの意思がそのまま音に反映すること。
つまり、暗く弾けば暗い音、明るく弾けば明るい音になります。
フィンガーピッキングなど繊細な表現に向いた材です。
700シリーズ
ハワイアン・コア
700シリーズのサイド&バックにはハワイアン・コア(Hawaiian Koa)という材が使用されています。
ハワイアン・コアは文字通り、ハワイ原産の木材。
マホガニーとローズウッド、2つの特性を持っていて・・・
中音域の存在感が強く、高音域は明るいのが特徴。
新品の状態なら、弾き込むほどに甘いサウンドになっていくのが分かる材です。
800・900シリーズ
ここからは基本的に同じ材を使っているので、まとめて紹介します。
インディアン・ローズウッド
800・900シリーズに使われているのはインディアン・ローズウッド(Indian Rosewood)。
インド東部が原産で、切ったばかりの材はバラの様な香りがすることから名付けられました。
MartinのD-28やD-45などの定番ギターに使われていて、他メーカーではフラグシップモデルはほとんどがこの材を使っているほど、アコースティックギターの王道と言える材です。
その音は、暖かみや深みを感じられる太い低音域に、煌めく高音域、伸びのあるサスティーンなど、豊かなサンドが特徴。
一方で中音域はやや抑え気味なので歌モノに最適と言われています。
国内外を問わず様々なアーテイストがこの材を使ったギターを使用していることからも、その音の魅力が伝わるのではないでしょうか。
800も900も、同じインディアン・ローズウッドなのですが、実はシリーズによって使用している材のグレードが違います。
もちろんシリーズの数字が上がるほど、材のグレードも上がるのですが、その音の違いは上級者にならないと分からないほど微々たるものと言われています。
Koaシリーズ
ハワイアン・コア
このシリーズは、ナンバリングではないシリーズです。
テイラーとして特別扱いなのか、100の位を使い果たしたからなのかは分かりませんが、ハワイアン・コア(Hawaiian Koa)という材を使っています。
700シリーズよりもグレードの高い材が使われているので、上位シリーズという位置づけです。
材だけでなく、作り込みも700シリーズより精巧になっています。
まとめ
以上がテイラーの展開する定番シリーズの材の紹介でした!
これで自分に合ったギターが選びやすくなれば幸いです。
定番シリーズの他にも、リミテッドモデルに使われるココボロやブラックリンバ、ササフラスなど、特徴的なサウンドを持つ材を使ったモデルが多数存在します。
実際に楽器店へ足を運んで音の違いを聴き比べるのも楽しいですよ!